相続問題でお悩みの方へ

子供達にはそれぞれの生活があるので、私の代で会社を終わりにすることも考えている

1.事業承継で行うべきこと

あなたがこれまで築いてきた会社は、単に人や物を集合させたものではありません。
会社がなくなると従業員の生活も一変することになります。

事業承継で行うべきことは、第三者の視点を入れることです。

それは経営者である社長自身にも必要なことです。これまでの会社経営の努力、苦労、一緒に働いている従業員の人達を考えると会社の価値を高く見積もることになりかねず、実際に第三者が監査した場合に出た値段に拒否反応を示すことになりかねません。

そのため、もし、ご自身が買い手として現在の会社を見た時に、いくらであれば購入するかといった視点を持つことが大事です。

従業員に対する未払いの賃金はないか、土地や建物に資産価値はあるか、機械設備が老朽化していて早期に買い替える必要があるか等、社長であるあなた自身が一番、自社の長所も短所を知っているはずです。

2.従業員などへの承継

従業員へ事業を承継する場合に注意することは何ですか?

①事業承継するための資金を準備できるかどうか、②個人保証の負担を軽減させることが可能かどうかです。

①に対しては、金融機関による融資や信用保証の活用が考えられます。

②に対しては、現時点から、保証債務のある会社債務の圧縮を図り、後継者が承継しやすい環境を整備していくことになります。
なお、従業員などへの承継は、子供や親族を後継者に選ぶよりも、関係者の理解が得られるよう配慮しましょう。
ベテラン社員や幹部への根回し、取引先や金融機関への紹介も必要です。

3.M&Aによる承継

M&Aは通常、以下のプロセスで行われます。

①アドバイザーの選定・相談
②売却条件の検討、企業評価
③買手候補の選定
④基本合意書(LOI)、秘密保持契約書(NDA)の締結
⑤デューデリジェンス(対象会社の精査)
⑥譲渡価格の決定
⑦最終契約書の締結
⑧クロージング(実行)

買手候補に対して、私(社長)が直接、売却話を持ちかけてもいいでしょうか?アドバイザーは必要でしょうか?

直接、交渉することはお勧めしません。
当事者同士では、価格面、売却条件などで利害が対立し、冷静な交渉ができない可能性があるからです。

アドバイザーは、基本的には売り手側と買い手側との交渉を仲介し、M&Aを成功に導くために全面的なサポートをしてくれます。具体的には、売り手企業の企業調査、買い手企業の選定、デューデリジェンスの支援、契約書等の作成支援などです。
そのため、円滑に進めるためには、仲介手数料を支払うとしてもアドバイザーを選定したほうがいいでしょう。

M&Aで気をつけることは何でしょうか?

M&Aでは、自社を高く購入してもらうため、自社の価値を高める努力が必要です。
具体的には、負債の解消や売掛金の回収、労使関係のトラブルの解消などを行います。
また、M&Aは、秘密裏に進めて行くため、経営者も含め少数の人間で当初は進めていくことになります。
さらに、基本合意書や、秘密保持契約書、最終契約書に盛り込まれる文言が自社にとって不利なものにならないかといった法的なチェックも必要になります。

買い手を見つけるにはどうすればよいのでしょうか?

まずは、自社の取引先が自社の技術や設備、従業員を必要としているかもしれませんので、自社の関係企業が買い手候補になりうるでしょう。
全国的に買い手を探すとなると、M&Aの仲介を専門とする業者もありますので、相談をするといいでしょう。

全国に事業承継支援センターが設置され、M&Aに関する相談窓口を設けていますので、そこに相談してもいいでしょう。

ただ、実際に専門業者に仲介を依頼すると手数料や成功報酬が発生しますので、専門業者に依頼する場合には、料金や仕事内容についてよく確認した上で依頼しましょう。

なお、地域金融機関もM&Aも含む事業承継のアドバイザーとしての役割を果たしています。

4.適切な解決策のご提案

事業承継は、10年かけて行っていくものだと言う人もいます。
皆様も日々の事業を行いながら、どこか頭の片隅で自分の創業した(引き継いだ)事業を次の世代にどうやって引き継ぐが考えていらっしゃると思います。
当事務所では皆様の事業承継に対する相談について、会社の状況1社1社の問題に合わせ、じっくりと話を伺うことで適切なご提案をさせていただいております。

事業承継でお悩みの方は、弁護士法人萩原総合法律事務所にお早めにご相談ください。

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