遺言執行者とは

遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする者です(民法1012条)。

遺言執行者が必要な場合

遺言の内容を実現するために手続が必要な場合に、遺言執行者が必要になります。

具体的には、まず、遺言で子を認知する場合(781条2項)に必要になります。
認知するには戸籍の届出をしないといけないため、遺言で認知する場合にも誰かに届け出てもらわないといけません。

また、遺言で推定相続人の廃除をする場合(893条)、遺言で推定相続人の廃除を取り消す場合(894条2項)にも必要になります。
家庭裁判所から廃除又は排除取消しの審判を受けるための申立手続が必要です。

さらに、登記・登録が必要な財産を遺贈する場合(964条)にも必要です。
例えば、不動産の場合、所有権移転登記手続をとることが必要です。

このような法的効果の実現に執行者が必要な場合の他にも、相続人に自分で実現させる手間を省くために遺言執行者を使うこともあります。

遺言執行者の選び方

①遺言執行者の選び方には、大きく2パターンがあります。
遺言によって指定する方法と、裁判所に選任してもらう方法です。

②遺言による方法では、遺言で特定の人を指名するか、第三者に指名を委ねることができます(民法1006条)。
未成年者及び破産者を除けば、どんな人でも遺言執行者になる資格があるので、指名は自由です。
もっとも、問題を起こさず迅速かつ円満に執行するためには相応の法的知識を持った公平中立な立場の人であることが望ましいため、弁護士などの専門家を指定することをお勧めします。
また、指名された人は、執行者への就任を断ることも可能です。
せっかく指名しても断られてしまうと意味がありません。
事前に指名の旨を伝え、就任を依頼しておくことが確実です。この点でも、専門職を指定することが有効です。
なお、執行者として指定する対象は自然人に限られません。
例えば、弁護士法人を遺言執行者に指定することが可能です。

③裁判所に選任してもらう場合は、遺言が執行されることに法律上の利益がある人から裁判所に対して申し立てることで選任されます。
例えば、相続人にお金を貸している人が、早く相続人にお金が入るように遺言の執行を求め、遺言執行者の選任を申し立てることがあります。

遺言執行のコスト

遺言執行者への報酬は、遺言で指定するのであれば、遺言の内容で定めることができます。
もっとも、あまりに安い報酬を指定されていれば、指名を受けたものが遺言執行者への就任を拒否することが考えられます。
事前に合意して決めておくことが妥当でしょう。
弁護士への依頼の場合、法律事務所によって金額は異なります。
弊所の場合はこちらのようになっております。

遺言で指定されていない場合は、遺言執行者と相続人の方とで協議して定めることになります。

家庭裁判所が選任する場合には、家庭裁判所が決めることになります。
30万円程度を最低ラインとして、遺産額の3%程度とされることが多いようです。

もう1人で悩まないでください。
弁護士が解決します。