生前の事務管理

事務管理とは

事務管理とは、法律上の義務がないにもかかわらず、他人のためにその必要な事務を管理することをいいます。
例えば、長期旅行中である友人の家屋の屋根が雨漏りをしていたため、大工に依頼して屋根の修理をしてもらった場合が挙げられます。

生前の事務管理に基づく費用の償還請求

事務管理をしても、事務管理をしてもらった人に対して、その報酬や事務管理により生じた損害の賠償を請求することはできません。
しかし、事務管理により費用を支出した場合には、その償還を請求することが考えられます。
上記の例でいえば、旅行から帰宅した友人に対して、大工に依頼した修理工事の代金費用を請求することになります。

では、この友人が亡くなった場合、修理工事の代金費用は誰にも請求できないのでしょうか。

友人に相続人がいる場合

仮に友人の財産を相続した相続人がいる場合には、相続人が修理工事代金費用も相続したことになります。
各相続人は、その法定相続分の割合に応じて債務を相続しているので、修理工事代金費用も、各相続人に対して、割合に応じた額を請求することができます。

友人に相続人がいない場合

仮に友人の財産を相続した相続人がいない場合には、相続財産管理人の選任を請求して、相続財産管理人から支払いを受けることが考えられます。

相続財産管理手続は、相続財産管理人が選任や、相続人の捜索等についてそれぞれ数か月ずつ「公告」という裁判所等における掲示・広告等で広く告知をする手続をとるので、時間がかかることに注意が必要です。

なお、仮にその友人と同居し、看護や身の回りの世話をしていた場合には、相続人がいない友人の「特別縁故者」として、残余財産の分与を受けることができます。

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