生前贈与とは

生前贈与とは、贈与を生前に行うことをいいます。
そして、贈与とは、贈与契約に基づき、無償で相手方に財産を与えることを言います。
贈与のときに、財産を与える人を贈与者、受取人を受贈者といいます。

生前贈与を利用する理由

生前贈与は、生きている間に相続税の対象となる財産を減らして相続対策をすること、生きている間に誰に財産を譲るか決められること、生きている間から譲った相手に財産を使い始めてもらえること等が利用される理由として挙げられます。

相続税と贈与税の関係

相続税と贈与税は、同じ財産であれば贈与税の方が高くなってしまいます。
しかし、生前贈与をすることで贈与税の控除等を行うことができるので、単に相続をするときよりも節税をすることが期待できます。

贈与税の課税方法

贈与税の課税方法には、贈与の暦年課税制度と相続時精算課税制度があります。

「暦年課税制度」は、1月から12月までの1年間に受けた個人からの贈与に対して課税する制度です。
但し、基礎控除という毎年110万円までの贈与で受け取った財産に贈与税が課税されない仕組みがあります。
そのため、毎年110万円以内の贈与を行えば、贈与税を負担せずに生前贈与をすることができます。

「相続時精算課税制度」は、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合、贈与税の申告書を提出して選択できる贈与税の制度です。
贈与額が2500万円を超えるまで贈与税が課税されません。
しかし、いったん選択すると、暦年課税に変更することはできません。

贈与税の特例

生前贈与に関しては、基礎控除の他に、夫婦間居住用不動産贈与の配偶者控除などがあります。
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるというものです。
その他にも特例がいくつかあり、生前贈与は、相続税対策としての活用が考えられます。

生前贈与の注意点

生前贈与の目的が将来の相続人間における相続財産の配分を調整したいという場合では、生前贈与をしても、相続人が婚姻・養子縁組のため若しくは生計の資本として受けた贈与は「特別受益」として相続分に考慮されたり、相続開始前の1年間にした贈与も、「遺留分」の算定に考慮されたりする可能性があり、注意が必要です。

また、生前贈与の目的が相続税対策という場合では、贈与をしたつもりでいたら贈与と認められなかった、贈与税が非課税のつもりでいたら課税対象になってしまったといったということにならないように注意が必要です。

弁護士に依頼するメリット

弁護士にご依頼いただければ、贈与契約書を作成したり、その契約書を公正証書化したりする等の方法で、贈与があったことについて紛争が生じるのを予防します。
その他、ご希望の相続ができるように、場合によっては遺言や信託等の複数の法律構成を検討しますので、お気軽にご相談ください。

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